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アスリートの腸内フローラ、一般人と何が違う?パフォーマンスとの関係は?最新論文を解説

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今日は、一昨日公開された

アスリートの腸内フローラ(The athletic gut microbiota)」

という論文のご紹介です。

 

たくさんの研究をまとめたレビューというタイプの論文ですが、

アスリートと腸内フローラの深い関係について書かれていたので、

なるべく分かりやすくお伝えします。

 

腸内フローラは、お腹の中の腸内細菌の数や種類などの状態のこと。

腸内細菌の数や種類によって、お腹の調子が良かったり悪かったり、

さらには全身の健康や運動パフォーマンスに影響を与えます。

 

お腹の調子に悩む方たち、アスリートやアスリートを目指す人たちの

参考になればと思います。

 

jissn.biomedcentral.com

 

はじめに

 

動物は、最初に腸からできるって知ってますか?

 

地球に初めて誕生した動物も、「腸」だけを持った生き物でした。

お母さんのお腹の中で赤ちゃんが最初にできる体の器官も、実は腸なのです。

 

脳、心臓がない動物はいても、腸がない動物はいない、

それほど腸は動物にとって大事な器官です。

 

 

思い起こせば現役の頃、

お腹の調子が良かったことがありません。

いつも緩く、それが自分の体質だと思っていました。

 

しかし現役の頃以上に、食事や運動に詳しく、健康を意識するようになった今、

現役時代にはなかったお腹の調子があります。

 

食べ物が腸内フローラに影響を与えることはよく知られていますが、

運動もまた、良くも悪くも腸内フローラに影響を与えます。

 

腸内フローラは何で決まる?

 

腸内フローラは、年齢や遺伝、運動、食生活、薬やタバコ、またストレスなど、

体質や生活の多くの要因によって決まります。

 

また赤ちゃんが生まれた時から、3歳頃までの環境も

腸内フローラに深く関わっています。

 

アスリートの腸内フローラ、一般人との違い

 

アスリートは肥満や食欲不振の人、また日頃ほとんど運動しない人と比べて、

腸内細菌の数が多く、さらに多様な種類(多様性)に富んでいることがわかっています。

 

自宅からあまり出なかったり、デスクワークが多かったりと、

座りがちな生活をしている人は

腸内細菌の数が少ないというデータもあります。

 

腸内細菌の数と多様性が豊富なことは、健康と深く関わっていて、

腸内フローラと密接な関係のある大腸ガンは、運動で予防できると言われています。

 

アスリート種別と腸内フローラの関係

 

自転車競技者のトップアスリートとアマチュアアスリートの腸内フローラ

を比較したところ、大きな違いはありませんでした。

 

一方、ボディビルダーと長距離ランナーと腸内フローラを比べると、

ボディビルダーでは、ビフィズス菌などのビフィズス菌と呼ばれる善玉菌などの乳酸菌や、

代謝を促進したり肥満の予防に有用と言われる、

短鎖脂肪酸を産生する腸内細菌が少ないことが分かりました。

 

こういった違いは、アスリートのたんぱく質や脂肪の摂取量と関係していて、

たんぱく質や脂肪の摂取量が多いと善玉菌が少なくなる傾向にあります。

 

運動すると腸内フローラが変わる

 

一般の人でも運動すると腸内フローラが変化することがあります。

 

特に、心肺機能が向上するような持久運動を継続的に行うと、

肥満や生活習慣病の有病率が高いとされる悪玉菌の数が減っています。

 

また心肺機能の高さは、

年齢や性別、また体格を表すBMIよりも

腸内細菌の多様性と深く関係していることが分かりました。

 

腸内フローラを変えると運動パフォーマンスが上がる

 

ラソンランナーに特徴的に多かった「ベイロネラ」という腸内細菌があります。

これはあまり運動頻度の多くない一般の人には見られない細菌です。

 

この「ベイロネラ」という腸内細菌を使って動物実験を行ったところ、

運動後の炎症が少なかっただけでなく、

13%も長く運動できたと言います。

 

アスリートでの実験はこれからのようですが、

腸内フローラを変えると運動パフォーマンスが上がるという

一つの因果関係が示された結果です。

 

過酷なトレーニングは腸内環境を悪化させる

 

次は、運動による逆効果の話です。

 

アスリートはしばしば、長期の激しい運動を行うことがあります。

長期にわたって過酷なトレーニングが続くと、

腸内環境の悪化を招き、脱水や腹部の痙攣、下痢などの症状を引き起こすことがわかっています。
この症状は特に長距離選手で顕著のようです。

 

おすすめ腸内環境サプリ

 

私自身、乳酸菌やビフィズス菌、食物繊維などいろいろサプリメントを試しましたが、

その中で一つ、おすすめのサプリメントをご紹介します。

 

デンマークのクリスチャン・ハンセンという会社が所有する

ビフィズス菌BB-12と呼ばれ、

生きて腸まで届くタイプの乳酸菌です。

 

乳酸菌の中でもビフィズス菌と呼ばれる種類の乳酸菌は、

空気があるところでは生きられないのが通常で

ビフィズス菌サプリメントのほとんどが死菌(死んでいる菌)です。

 

死菌は死菌なりの効果があると言われていますが、

生菌(生きている菌)の持つ効果はありません。

 

ビフィズス菌BB-12は1985年に発売されて以来、世界中の食品やサプリメントに使用され、

研究論文は307以上、臨床研究は180以上と

世界でも群を抜いて研究データの多い乳酸菌です。

 

私は飲んで2日後に効果を感じました。

明らかに便の調子が良かったです。

 

乳酸菌は人によって合う合わないがあると言いますが、

豊富な研究データが自分自身への効果を物語っていると感じました。

 

日本では、

よつ葉乳業のヨーグルトに配合されていたり

富士フィルムがBB-12のサプリメントを販売しています。

 

まだ試したことがない方はおすすめです。

あまり効果を感じない方は、はじめは少し多めにとって様子を見るのもよいでしょう。

 

ビフィズス菌BB-12については、またどこかで詳しく書きたいと思います。

 

 

まとめ

 

  • アスリートの腸内フローラは、一般の人に比べて腸内細菌の数が多く多様性に富んでいる。
  •  たんぱく質や脂肪の摂取量の多いアスリートは、善玉菌の数が減る傾向にある。
  • 心肺機能を高めるような持久運動を継続的に行うと、肥満や生活習慣病に関係する悪玉菌の数が減少する。
  • 「ベイロネラ」という腸内細菌を投与すると、運動パフォーマンスが向上する可能性がある。
  • 長期にわたる過酷なトレーニングは、腸内環境を悪化させ脱水や下痢などの不調を招く。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

論文をわかりやすく紹介するって難しいですね。

もっと上手に書けるように練習します^^;

 

また面白い論文を見つけたらご紹介します!